I
(1)五十音図サ行第一段の仮名。 歯茎摩擦音の無声子音と後舌の広母音とから成る音節。
(2)平仮名「さ」は「左」の草体。 片仮名「サ」は「散」の初三画。
II
(代)
三人称。 その人。 そいつ。 もっぱら格助詞「が」を伴い, 「さが」の形で用いられる。

「~が髪をとりて, かなぐり落とさむ。 ~が尻をかき出でて, ここらの公人に見せて, 恥を見せむ/竹取」

III
(感)
(1)人を誘ったり, 促したりするときに発する語。 さあ。

「~, 行こう」

(2)驚いたり, 気付いたりしたときに発する語。 さあ。

「~かかつたは/狂言記・こんくゎい」

(3)言葉につまったり, ためらったりするときに発する語。
IV
(接尾)
※一※形容詞・形容動詞の語幹, 一部助動詞の語幹に準ずるものに付いて名詞をつくる。
(1)その表す性質・状態・心理そのもの, またその程度などを表す。

「深~」「つら~」「暖か~」「会いた~見た~」

(2)文末にあって, 感動の意を表す。

「ももしきの大宮人の罷り出て遊ぶ今夜の月のさやけ~/万葉 1076」

※二※動詞の終止形に付いて名詞をつくる。 移動の行われるときの意を表す。 …している折。 …するとき。

「帰る~」「行く~」

V
(接頭)
(1)名詞・動詞・形容詞に付いて, 語調を整える。

「~衣」「~牡鹿」「~渡る」「~遠し」

(2)(「早」「五月」と書く)名詞に付いて, 「若くてみずみずしい」, また「五月の」の意を表す。

「~乙女」「~苗」「~蠅(バエ)」「~みだれ」

VI
さ【些】
すこしばかり。 わずか。

「室内の空気~も熱せずして/義血侠血(鏡花)」

VII
さ【左】
ひだり。 特に右から縦書きにした文面で, 左側すなわち後述の文や内容をさし示すときに用いる語。 左記。

「~に述べるように…」

VIII
さ【差】
(1)性質・能力・程度などの違い。 ひらき。 へだたり。

「寒暖の~が激しい」「大きな~をつける」「雲泥(ウンデイ)の~がある」

(2)〔数〕 ある数から他の数を引いた値。 さしひき。
IX
さ【梭】
「杼(ヒ)」に同じ。
~を投ぐる間(マ)
〔機(ハタ)を織る梭がたて糸をくぐりぬけて通るほどの間の意〕
またたく間。

「露より仇の契りかや~の世の業(ワザ)も/浄瑠璃・百合若大臣」

X
さ【沙】
しゃ(沙)
XI
さ【然】
前に示されていることを受けて, その事態を示す語。 そう。 そのように。

「~思(オボ)したり/源氏(桐壺)」

〔平安時代以後にみられる語〕
さは
さも
XII
さ【矢・箭】
矢(ヤ)。

「鮎を惜しみ投ぐる~の遠ざかりゐて思ふそら安けなくに/万葉 3330」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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